1950年代Ｎ−２Ａの色落ちバージョンです、当時のナイロンは高空での紫外線を浴び続けるとエアーフォースブルーは紫色に変色します、このジャケットは綺麗に変色しています

メインジッパーです、ＣＯＮＭＡＲ社製、ワイヤーフレームジッパーですねレザー製の引き手がついています

USAF アメリカ空軍創設時に支給されたＮ−２Ａ　フライングジャケットです、1950年代初期に支給され当時のアメリカ空軍の指定色エアーフォースブルーで支給されました、1950年代は朝鮮戦争が勃発しまた大量のフライトジャケットが必要になった状況です、既に第2次世界大戦を経て皮製飛行服の需要に対応できなくなった軍は皮製飛行服に代わる素材としてナイロン系の飛行服に転換した時代でもあります、フライトジャケットの大きな転換期のジャケットのひとつです、このＮ−２ＡはＮ−２系フライトジャケットのセカンドジェネレーション（第2モデル）でこの前にはＮ−２が採用されていました、Ｎ−２Ａには専用のトラウザー（ＴＹＰＥ　Ｄ−１Ａ　Ｆｌｙｉｎｇ　Ｔｒｏｕｓｅｒｓ）を組み合わせることで極寒の地での作業や高空での輸送機の作業員等に最強の防寒を提供したわけです。

Ｎ−２Ａはまた短命のフライトジャケットでした、防寒としての機能はインナーにコットン、ウールバッキングを施すことで暖かさは格別でしたが、朝鮮戦争で使用された際にエアーフォースブルー（アメリカ空軍飛行服指定色）が実戦では目立つことが問題になりすぐに対応が取られます、1950年代後期には色をセージグリーンに変更したＮ−２Ｂの支給が開始されＮ−２Ａは順次回収されることになります、

Ｎ−２Ａの特徴としてはもちろん1950年代のアメリカ空軍指定色のエアーフォースブルーがあげられます、深いブルーでとても魅力的な色となっています、次は大型のフードですこれはヘルメット着用でもヘルメットごとすっぽりと収まるような大型のものです、極寒地使用（アラスカ等）を前提に考えられていますのでフードも襟には大型のファー（これは天然の毛皮、、コヨーテ、狼等）の毛を使用し内側にもウールを万遍なく張り完璧な防寒仕様となります、またデザイン的にも面白くフードには更にジッパーがついており、このフードはジッパーで開いて両側に垂らしておけるようになっています、これはフードが大型の為邪魔な時には首周りの負担にならないように考えられたものです、フードの印象としては映画マッドマックスの最凶の悪役ツゥーカッターの着ていたジャケットですね。

次にデザイン上の特徴としてあげられるのは胸の中心部につく酸素マスクを留めて置く為のボックスタグと酸素マスクを引っ掛けておく為のＩＣＳループがついています。

この当時のＵＳＡＦマークですが左肩にステンシルペイントされているのですが、当時のペイント素材の悪さでドライクリーニングによりほとんどのジャケットからは消えてしまっています、残ってるものは非常にまれです

現在Ｎ−２Ａは状態のいい実物を探すのは非常に困難です、デザインは後にＮ−２Ｂに繋がるとても特色のあるものでフライトジャケットのなかでも異質ですね、特にフードを両肩に垂らした状態ではデザイン的みてもとても魅力的で他では味わえない独特の雰囲気を醸し出すジャケットです。

このＮ−２Ａは同時期のものですが、メインジッパー　シガレットポケットともにヒンジ式ジッパーを使用した珍しいものです　ジッパーはＣＲＯＷＮ社製

ボックスタブ

ＩＣＳループ

当時のナイロン系のジャケットは独特の光沢があります

左肩シガレットポケットのジッパーＣＯＭＡＲ社製です

ラベルですがＮ−２ＡのラベルにはＭＩＬスペックとドローイングナンバーの両方が記載されています、その理由はＮ−２Ａがスペックの変換期に開発されたという理由があります、ＭＩＬスペックは全軍統一の新システムでドローイングナンバーは米陸軍航空隊が独自に制定していた旧スペックです、ですのでＭＩＬスペックはＭＩＬ−Ｊ−６２７８でドローイングナンバーはＮＯ，５１Ｂ３５５６となります

左肩のＵＳＡＦのステンシルマークペイントが残ってるものは珍しいです

独特の光沢が出現してこれはこれでかっこいいです

ニット類もオリジナルの為に色もばっちりと合っています